山繭の羽織と止まる船
どんな伝承か
山繭の幼虫はクヌギやクリの葉を食べて育ち、やがて繭をつくる。この山繭の糸で織った織物は光沢があり上品で、貴重な品であった。昔、この山繭の糸で作った羽織を着て旅に出た者が、海を渡ろうとしたところ、途中で船が動かなくなってしまったという。船頭たちは、山繭の羽織を着ている者がいるためだと騒ぎ立て、貴重な羽織を海へ投げ入れさせた。すると船はふたたび進むことができたという。これは水神である龍王が珍しい宝物を欲しがるという思想の一つが、この地にも伝わったものだと考えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
伊勢崎市史 民俗編――俗信と伝説(伊勢崎市(編)・伊勢崎市史)
『伊勢崎市史 民俗編――俗信と伝説』は、伊勢崎市が編んだ市史民俗編のうち、俗信と伝説・昔話の節の抜粋である。オサキや水死体を知らせる鶏などの俗信と、赤城と日光の神戦、赤堀道玄の娘の入水、『神道集』の宮子の龍宮、義経や鎌倉権五郎にまつわる伝説を、『伊勢崎風土記』などの記録や土地の語りを引いて記す。伝説を赤城山・『神道集』・義経・権五郎・寺社・入定・城などの七類に分けて述べ、十二支由来などの昔話を続ける。