筆を手に逝った酒好きの書家東山
どんな伝承か
幕末の布川で名を知られた書家、杉野東山の碑が羽中の応順寺にある。東山の父は今の伊勢平材木店から分家して布川の柳宿に店を出し、菜種油をしぼる商いを始めた。東山も油しぼりを継いだが、五十歳で隠居してからは書ひとすじに生きた。酒が好きで、書の礼にも酒をもらうのが何よりうれしかったらしい。最期も、書を頼みに来た人の土産の酒を飲み、筆を握ったまま旅立ったという。碑のある所は墓ではなく、墓は印西の小林新田にあると伝えられている。
原典より
その最後も、書を頼みに来た人があって、みやげに貰った酒をのんで、筆をもちながらの長旅であったという。—— 利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。