ウドンゲの花が咲いた家
どんな伝承か
電灯の傘などに、細い絹糸のような柄の先へ卵がついたものが、びっしりぶら下がることがある。所沢ではこれをウドンゲの花と呼んだ。正体はクサカゲロウの卵だが、これが咲いた家には不幸が出るとされ、ウドンゲの花が咲いたから旦那が死んでしまった、というような言い方をした。久米出身の大正五年生まれの女性が語ったもので、同じ女性は、葬式のあとに玄関で家中が揺れるほどの音が鳴り、後のことが心配で旦那が戻ってきたのだろうと皆で話し合った、という体験も伝えている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
所沢市史 民俗編(所沢市史・昭和中期(推定))
本書は埼玉県所沢市の民俗編として、明治から昭和戦中にかけて市内に伝承された怪談や民間信仰を記録した資料である。主な内容は、家に棲み着くヘビ、仏様が姿を変えた霊的存在、天狗やカッパなどの妖怪に関する伝承、雷獣などの民俗的存在が多く、これらは子供のしつけや禁忌事項として語り継がれていた。記録された話の多くは目撃者からの伝聞であり、所沢市内の実在する地名(北秋津、南永井、久米、本郷など)と結びついた地域固有の民間信仰を示している。