金は吉・銀は凶の請川のウドンゲ
どんな伝承か
ウドンゲ(憂曇華)は、部屋の天井や柱や蛍光灯などに細く密集した糸をつける現象で、その正体がクサカゲロウの卵であることを知っていても、なお気にする人はかなり多い。しかも興味ぶかいのは、同じ現象が土地によって吉凶いずれの前兆ともみなされることである。南方熊楠の全集を読むと、東牟婁郡請川あたりではウドンゲに金と銀の両種があって、金色は吉、銀色は凶兆で不吉とされる。ただし家によっては夏じゅうできる家もあり、そういう家ではなんとも気にしないという。また紀州田辺付近では、非常によいことがあるか、非常に悪いことがあるかのどちらかの前兆だといわれていた。
原典より
南方熊楠(みなかたくまくす)翁の全集を読むと、東牟婁(むろ)郡請川あたりでは、ウドンゲには金と銀の両種があって、金色は吉、銀色は凶兆不吉とされているが…—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。