南方熊楠の幽霊目撃体験(自宅二階)
どんな伝承か
和歌山県田辺市に居を構えた博物学者・南方熊楠は、粘菌採取のため熊野山中をしばしば歩き回り、幽体離脱や死者の霊の目撃をたびたび経験したという。熊楠自身が『人類学雑誌』(大正元年八月)に寄せた文章によれば、厳冬のある年、那智山に一人で暮らし空腹で臥せっていたところ、夜通し自分の頭が抜け出して家の横の牛小屋のあたりを飛び回り、闇の中でその様子をありありと見たと記している。熊楠はこの現象が自らの精神の変調によるものと知りつつも、これを繰り返し禁じ得なかったと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。