霊媒体質だった宮沢賢治
どんな伝承か
宮沢賢治は少年時代から霊媒体質ともいうべき特異な資質を持ち、山野を歩くたびに常人には見えないものを見ていたという。童話集『注文の多い料理店』の序では、これらの話はみな林や野原や鉄道線路で、虹や月明かりからもらってきたのだと記し、心象スケッチ『春と修羅』でも、心に見えたもの聞こえたことをそのまま写したのだと主張した。旧家である宮沢家と地域社会のタブーのため、賢治は自らの体験を控えめな言い方でしか語れなかったが、その神秘体験は想像力の産物ではなく実見であったと本書は説く。山中で平安時代の僧侶に出会ったという話は、その代表である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。