読経の枕辺に現れた妹とし子
どんな伝承か
賢治の親友だった佐藤隆房が、農学校の生徒照井謹二郎に賢治が語ったこととして書き留めている。妹のとし子が亡くなってから、賢治は休む前に必ず読経し、ずっと仏壇のそばで寝起きしていた。ある夜、いつものように一心に経を読んで横になると、枕辺にとし子の姿がありありと現れた。すぐ起きてまた経を上げていると姿は見えなくなった。次の晩もやはり姿が見え、それきり現れなかった。賢治は、人間は人によるかもしれないが、死んでからまた別の姿になってどこかに生を受けるものらしい、と語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。