山荘で続いたラップ音と物の移動
どんな伝承か
作家佐藤愛子が浦河に建てた山荘では、ポルターガイストと呼ぶほかない現象が続いた。寝室では木材をへし折るような音が絶え間なく鳴り、電気スタンドがひとりでに点いたり消えたり、電源を切ってある加湿器が水音を立てて空の赤ランプを点した。積んでおいた段ボール箱やシーツの枚数が減り、揃えたスリッパの片方が飛び、庭の水道の金具がテラスの机の真ん中に置かれている。霊能者は、その土地が日本人に滅ぼされたアイヌの集落の跡で、成仏できない霊が地縛霊として残っていると告げたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
あの世はあった―文豪たちは見た、ふるえた(三浦正雄・矢原秀人・2006年(平成18年))
『あの世はあった――文豪たちは見た!ふるえた!』は、三浦正雄と矢原秀人が二〇〇六年に著した、近代日本の作家や知識人の霊体験を紹介する読み物である。熱海の旅館で遠藤周作と三浦朱門が同時に遭った幽霊、佐藤愛子の心霊現象、菊池寛・宮沢賢治・小泉八雲・土井晩翠・新渡戸稲造・南方熊楠らの体験、夏目漱石の臨死体験を、本人や周囲の文章を引いて語る。一人一章の全十二章にまえがき・あとがきを添え、巻末に霊媒クランドン夫人の実験記録を付録として収める。