オトウカドンの財布芝居
どんな伝承か
所沢市東部に住んでいたAという人は、明治より前の生まれで、人をよくだますためオトウカ、すなわちキツネにたとえてオトウカドンと呼ばれていた。あるとき御岳山への参拝に行こうと言い出し、皆で支度をして出発した。ところが所沢の辺りまで来たところで、オトウカドンは急に声を上げ、体のあちこちを探り始めた。財布をなくしたので帰るのだと言うので、気の毒に思った皆が路銀を少しずつ出し合って旅を続けさせた。ところが家に帰ってみると、オトウカドンは金のことなど知らぬ顔をしていたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
所沢市史 民俗編(所沢市史)
『所沢市史 民俗編』は、所沢市の市史の民俗編から、第一二章「口頭伝承」の一部を収めたものである。ヘビや天狗・カッパ・雷獣の話に続けて、世間話の「不思議な話」としてカラス鳴き・人魂・死の予兆・夢・木の祟り・生き霊・幽霊騒ぎ・タクシーの幽霊などを、市内の話者からの聞き書きで記す。話ごとに題を立てて同じ題の話を番号で並べ、話者の性別などを添え、ホラ吹きやオトウカドンの話も続ける。