はき物を隠すオトウカ山のキツネ
どんな伝承か
加佐志にオトウカ山と呼ばれる小さな森がある。ここには多くのキツネがすみ、夜ごと人家に現れてはいたずらをし、履き物や傘をこっそり持ち去って森の中に隠したという。キツネは稲荷さまの使いで農作の神とされ、村人は大切にしたが、子どもにとってはたいそう怖い森だった。子どもが悪さをすると「言うことを聞かないとオトウカ山が来るぞ」と叱られ、途端におとなしくなった。外から帰って履き物を庭に脱ぎ散らかしていると、年寄りから「オトウカ山が来て持って行くぞ」と脅され、きちんとそろえるようになったという。オトウカ山は稲荷山という地名としても残っている。
原典より
加佐志に「オトウカ山」といわれる小さな山がある。—— 狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当))
『狭山市史 民俗編』は、狭山市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその「五 伝説・昔話・世間話」の部分が収められている。堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で古老の座談会と個別の聞き取りによって集めた話を、話者の地区・名・生年を添えて載せ、不老川や堀兼の井、影隠地蔵、キツネ、豪商綿貫家の話などを含む。伝説は水・動物・植物・地名・人物・塚・神仏・地蔵・妖怪変化など十項に分け、話ごとに[解説]を付す。