力石を担いで帰った仮名頭粂吉
どんな伝承か
加佐志に住んでいた大男が、川越のお大師さまへ参詣した帰り、お不動さまの近くで若い衆が力石を持ち上げて自慢し合っているのに出くわした。大男が腰かけて見物していた大石は、実は最も重い五十貫、約二百キロの力石であった。若い衆にけしかけられた大男は、持ち上げたら石をもらうと約束を取りつけ、駒下駄のまま石を目より高く持ち上げて、悠々と担いで帰った。この大男は江戸の大相撲で幕下まで進んだ仮名頭粂吉という力士で、力士名の「仮名頭」は「い」とも書き、いろはの頭文字の意味だという。粂吉が川越から持ち帰った大石は今も加佐志に残っている。
原典より
加佐志にたいへん力の強い大男が住んでおった。—— 狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
狭山市史 民俗編(狭山市(狭山市史編さん室/民俗調査担当))
『狭山市史 民俗編』は、狭山市の市史のうち民俗を扱う巻で、ここにはその「五 伝説・昔話・世間話」の部分が収められている。堀兼・入間・奥富・柏原・水富・入間川の各地区で古老の座談会と個別の聞き取りによって集めた話を、話者の地区・名・生年を添えて載せ、不老川や堀兼の井、影隠地蔵、キツネ、豪商綿貫家の話などを含む。伝説は水・動物・植物・地名・人物・塚・神仏・地蔵・妖怪変化など十項に分け、話ごとに[解説]を付す。