赤竜と交わり金時を産んだ足柄山の山姥
どんな伝承か
坂田金時の母とされる山姥は、相手のない処女の出産のように奇跡として語られ、箱根権現の巫女と神官の子とする説もある。『前太平記』では、天延四年、上総の任期を終えて都へ上る源頼光が、足柄山中に赤い雲気が立つのを見て家来に探らせ、山姥に育てられた金時を見出して家来にした。山姥は、この子に父はない、山頂で寝ていたとき夢に赤竜が来て交わり、雷鳴に驚いて覚めると身ごもっていた、と答えたという。筆者はこの赤竜を日光・雷光・雷神と見て、賀茂の丹塗矢の伝承と同じく日の光がほとに当たる神婚の型だと論じ、金時が赤い童子として生まれ鉞を持つのも雷神の表れだとする。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
講座日本風俗史別巻 妖異風俗((講座日本風俗史 別巻)・日本風俗史・民俗)
『講座日本風俗史別巻 妖異風俗』は、『講座日本風俗史』の別巻として、複数の執筆者が妖しく異様な風俗を論じた巻である。淫祠と性の祭礼、戦後の新興宗教、性にまつわる迷信、妖術・忍術・奇術、憑きものと特殊家系、心霊術と催眠術、異類との婚姻、性と怪異の関わりを、古典の随筆や各地の報告、事件の記録から取り上げる。九つの章に分け、終章「日本妖異風土記」では関東から九州・沖縄までの怪異譚を地方別・県別に掲げる。