十年かけて寄せられた紫波郡の昔話
どんな伝承か
紫波郡の昔話を集めた一書の序である。この集の資料はほとんどすべて、紫波郡煙山村の小笠原謙吉から寄せられたものであった。大正三年の秋ごろに始まり、大正十三年八月までのおよそ十年の間、一度に十篇、五篇、少ないときは三篇、多いときは四十余篇と、折々の書状や原稿で送られてきた。その数は総計二百七篇に及んだが、口碑伝説に入れるべきものや他の譚と著しく重複するものなどを除き、百十五篇を収めたという。資料の大半は小笠原自身の記憶や家族から聴いたもので、ほかは著者のために近郷の小学校の教師や生徒から集めてもらったものであった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。