そば畑を水と見た上會根の男
どんな伝承か
上會根の藤助という男が、布川まで用足しに出かけ、先方でしたたかに酒を振る舞われた。帰りはすっかり暗くなり、いつまでも戻らないので家の者が心配して途中まで迎えに出た。すると藤助は、そば畑の真ん中で「おお深けえ、おお深けえ」と繰り返しながら歩き回っていた。白い花の咲くそば畑を、田に水があふれたものと取り違えていたのである。キツネにうまく化かされたのだと語られている。
原典より
上會根 of 藤助(仮名)さんが、布川まで用足しに出かけたが、行先で酒をたんまりとご馳走になり、帰りがすっかり暗くなってしまった。—— 利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。