仕事始めの小枝が根づいた一鍬松
どんな伝承か
利根町役場の北側の田の中に、大変形のよい松が一本立っていた。一鍬松というのだそうだ。一鍬とは、昔から近辺の農家で正月の十一日に行う、その年の田畑の仕事始めの行事で、田畑をちょっとだけ耕し、松の小枝を差しておく。ところが、そのときの松が思いがけず根付いて大きくなってしまったのが、この木だというのである。今はその田のあったあたりはすっかり埋め立てられ、フレッシュタウンという団地に生まれ変わった。松は町の水道浄水場の庭に植えかえられ、いまも元気に育っている。
原典より
利根町役場の北側の田の中に、大変形のよい松が一本立っていた。—— 利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。