予告して盗みに入る江蔵地の留
どんな伝承か
江蔵地(現我孫子市)に昔、留という大泥棒が住んでいた。江蔵地の留は、泥棒に入ると心を決めると、前もって相手方に通告するのが常であった。あるとき、大房の若い衆が十数人、金を集めて手慰みをしているところへ、江蔵地の留から予告が入った。ところが丑三つ時になっても姿を現さない。なんだ、留の野郎、口ほどもない、と皆が笑いあったとき、土間のかたすみの暗闇から、おれは、ここにいるぞ、とのっそり姿を現し、皆が驚いているあいだに有り金を全部まきあげてしまった。ただ一人、機転のきく小左衛門の家の若者は、まわりの金をキンタマの下に隠し、この玉はやれねえ、と叫んで、とられずにすんだという。
原典より
江蔵地の留は、泥棒にはいると心をきめると、前もって相手がたに通告するのが常であった。—— 利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説(利根町(編)・利根町史)
『利根町史 第4巻(通史・民俗編)――民話と伝説』は、利根町が編んだ町史の一巻で、第一章を「民話と伝説」にあてる。町内を歩いて聞き集めた話と『北相馬郡志』などから引いた話を収め、大平権現や布川の地蔵の由来、バッソンの笑い話、大蛇・河童・むじなやキツネに化かされた話、押付新田の鶴殺し事件などを載せる。伝説と昔話に分けず文・布川・文間・東文間の地区ごとに節を立て、各話の題に伝承地を添え、話者名や方言の語釈を注記する。