田村将軍が建てた亀久保の地蔵堂
どんな伝承か
亀久保の地蔵堂は武蔵野木の宮地蔵とも呼ばれ、座った姿の地蔵を祀っている。堂に伝わる縁起によれば、延暦二十四年に田村将軍が北国征伐に向かう途中、わけあってこの地に地蔵堂を建て、のち建仁元年に鎌倉の右大将家に仕えた二階堂隠岐入道が不思議な霊験を目の当たりにして建て直したという。風土記稿の編者は、縁起には根拠のない話が多く信じるに足りないとしながらも、近在にも聞こえた古い堂であり、由緒のある像なのだろうと記している。
原典より
延暦廿四年(八〇五)田村将軍北国征伐の時故有て当所に地蔵堂を造営しその後建仁元年(一二〇一)鎌倉右大将家の旗下なりし 二階堂隠岐入道が 不思議の霊験を見しかば再建すと…—— 大井町史 民俗編 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
大井町史 民俗編
『大井町史 民俗編』は、大井町の町史民俗編のうち、第一節「伝説」を収めたものである。大井・亀久保・鶴ヶ岡・苗間などに伝わる地名の由来、力石や怪力男の話、大井弁天、織部塚、地蔵や薬師の縁起などを、『新編武蔵風土記稿』『大井村郷土史』『麦笛』『埼玉県伝説集成』などの文献と、土地の話者からの聞き書きによって記す。伝説の特徴を述べたのち、村・石・水・塚・祠堂・その他の部に分けて各話を並べ、話ごとに出典の書名か話者の名を添える。