東河原の地蔵堂に出るのろこしぼうず
どんな伝承か
青木から東へ五百メートルほど行くと東河原という端村がある。道の北の端は地蔵堂にあたり、河原に通じて耶麻郡へ渡る渡しがあった。堂は昔は九尺四方の大きな建物で、柳の大木が二本あった。船着き場があって旅人の往来も多く、広い堂は物ごいの寝泊りの場としてしばしば使われた。六十五年ほど前には、ここに泊まった六部が梁に帯を下げて首を吊り、どこの誰とも分からぬ無縁仏として葬られた。やがて誰いうとなく、この地蔵堂にのろこしぼうずという化物が出るという話が伝わった。得体の知れない、どうともつかみどころのない、ぬうぼうとした化物であったという。堂はその後火災で焼失した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
会津坂下町史 1(民俗編)――伝説(会津坂下町(編・山口弥一郎ほか)・会津坂下町史)
『会津坂下町史 1(民俗編)――伝説』は、会津坂下町の町史民俗編のうち、第二十章「伝説」を収めたものである。高寺山の黄金千杯、佐原・栗村の水田開発、交通路、空也・徳一、神仏、地名、雨ごい、狐、笑い話・逸話、妖怪変化、部落の起源、人物にまつわる町内の伝説を集める。冒頭で伝説の意義と自然・歴史・信仰の三分類を述べ、主題別の節に分けた各話の末尾に話者と、井関敬嗣・薄嘉明ら執筆者の名を記す。