食わずの女房
どんな伝承か
昔、ある村に欲の深い青年がいて、食べ物を食べる嫁はもらわないと言っていた。そこへきれいな娘が来て、食べ物を食べなくてもよいというので嫁にした。この女は野良仕事も何でもできたが飯を食べず、それでいて米櫃の米が余計に減る。不思議に思った男が屋根裏の煙抜きからのぞくと、女は一釜の飯をむすびにし、頭の毛をとくとそこに口があって、むすびをみな押し込んで食べてしまった。驚いた男は屋根から落ち、肩に乗せられて山へ連れて行かれたが、途中で松の枝に飛びついて逃れ、ショウブとヨモギの茂みに隠れた。鬼はそれに触ると体が腐ると言ったので、男は投げつけて助かった。五月四日にショウブとヨモギを軒端に挿す風習はここに由来するという。
原典より
むかしあるむらに、欲の深い青年があったつうだいね。—— 高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書)
『高山村の民俗――昔話』は、群馬県民俗調査報告書の第二十一集として高山村の民俗をまとめた調査報告書である。尻高・中山・本宿・北之谷などで聞き取った口頭伝承を収め、桃太郎・蛇婿入り・食わず女房などの昔話、弘法大師の足跡や椀貸の渕・小太郎渕の伝説、怪力の馬之丞やアズキトギ・見越し入道・かくしばあさんの世間話を載せる。口頭伝承は昔話・伝説・世間話の三つに分け、各話の末尾に伝承地の字名を添える。