蓑と笠を残して五両を返した夫婦石
どんな伝承か
利根郡昭和村森下で語られた話。沢入の春場見にある夫婦石が、そろって伊勢参りに出かけた。宿で枕さがしに遭って路銀を失い、上州屋という宿屋に立ち寄って、黒川の郷薗田の庄沢入の坂東太郎と名のり五両を借りた。取り立てに上州へ来た宿の者が春場見でたずねても、そんな名の人はいないという。村人に教えられて渡良瀬川の中の大岩を見に行くと、伊勢参りに着ていった蓑と笠が置かれ、その上に五両が載っていた。のちに東照宮の台石にしようと石工が鑿を入れたところ、はねとばされたとも伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第4巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第4巻』は、日本の伝説を話型ごとに集成した叢書『日本伝説大系』の一冊である。茨城・栃木・群馬の三県に伝わる伝説を、男体・赤城の神争いや榛名湖の入水譚、平将門・源義家・親鸞・弘法大師などの事跡、河童・竜宮・長者・石・姥捨・九十九谷などの話型ごとに収める。各項は代表となる伝承地の話を掲げ、〔類話〕に各地の聞き書きを伝承者名や出典とともに並べ、〔文献〕に縁起・地誌などの古記録を抄出し、柳田・高木による話型名を添える。