青木山に住みついた千軒長者の由来
どんな伝承か
由良郷の山庄大夫の由来を記した文である。村上天皇の御代、天暦年間のことという。大夫はもと丹波国桑田郡川谷村の生まれで、若いころから商いに励んでいた。大雨のときも青木山から流れ出す水が澄んでいるのを見て、山の奥に金があると考え、ついにこの里に住みついた。千軒長者と呼ばれたのはこの者である。のち大江の時廉の下知で、岩城の鎧を生け捕った者に恩賞を与えるとの触れが出た。二人はひそかに屋敷を抜け出し、和江村の国分寺へ逃げ込んで和尚に事情を語る。和尚は快く引き受け、安寿姫は越後で別れた母の行方を尋ねると津志王丸に告げた。津志王丸は参内して父の本領奥州五十四郡に丹後を添えて賜り、大夫はこの地で仕置きされたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。