躓き石の小判と山椒太夫
どんな伝承か
大野に伝わる山椒太夫の出世譚である。もとは山椒の皮を買い集めては丹後まで運ぶ、暮らし向きの乏しい行商人だったという。丹後との行き来には七廻八峠を越えるのだが、どういうわけか毎度きまって同じ石に足をとられる。気になった太夫がその石を掘り返してみると、地中から小判が出てきた。この思いがけない富で身代を築き、生まれ在所の土地をことごとく買い占めて長者と呼ばれるようになる。のちに住まいを丹後の由良へ移し、三つの庄を力ずくで支配下に置いたことから、三庄太夫の名でも呼ばれたと語り継がれている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。