穴太寺に伝わる厨子王の守り本尊
どんな伝承か
曽我部町の穴太寺には、小指ほどの大きさの小さな像が守り伝えられている。観音像とみられるもので、厨子王が身につけていた守り本尊だという。山椒太夫の手もとを離れて都をめざした厨子王は、追っ手に迫られてこの寺へ駆け込み、そのままかくまわれて難を逃れたと語られる。ただし隠れ場所については別の言い伝えもあり、寺から六キロほど離れた丹波国分寺の跡地に建つ堂こそ少年をかくまった場所だとする話も残る。像と堂と、二つの言い伝えが今も並んで伝えられている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。