空き家を背にした写真の三つの顔
どんな伝承か
熊本県人吉市の話。中学一年の稲富誠君が、小学四年生の時に兄が家の近くで撮った写真について語った。写真には骸骨のような顔が一つ、トイレの窓から血を流す顔が一つ、空にも顔が一つと、計三つの顔が写り込んでいた。写っていた背景の空き家では昔、悲劇的な事件があり、家族が亡くなったといい、兄はその家族の霊が写真に現れているのだと話した。人吉球磨地方ではサラ金苦から自殺した人が何人もいるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 12 写真の怪・文明開化(松谷みよ子・現代民話考(立風書房)第十二巻・1996年(平成8年))
『現代民話考 12 写真の怪・文明開化』は、松谷みよ子が一九九六年にまとめた現代民話の資料集で、同シリーズの第十二巻にあたる。雑誌での呼びかけやアンケート、聞き書きで寄せられた話と新聞・雑誌の記事を、心霊写真をめぐる怪異と、明治以降の電信・汽車・電気燈などの新しい文物や流行病に戸惑う人々の話に分けて収める。話例ごとに本文を掲げて各地の類話を分布として並べ、話者や回答者の名と出典を添える。