狩人が見た沼の主のうろこ
どんな伝承か
木部様の姫が駕籠で榛名神社へお参りに行った。榛名湖のそばまで来ると水が欲しいと言い、自分で下りて直に飲みたいと沼のほとりへ行き、にわかに沼へ入ってしまった。騒ぎのなか腰元も一緒に沼へ入り、やがて姫は大蛇に化身して現れた。供の者はあの姿になったのだからと諦め、カニになった。そのため榛名神社に参る者はカニを食べないといい、今も五月五日には木部の殿様ゆかりの人々が行器に赤飯を入れて榛名湖へ持って行く。後日談として、狩人が榛名で獲物を撃つと霧が深くなり、狩人は気絶した。霧が晴れて見るとうろこが二枚落ちていた。沼の主が丘へ上がったところを見られたので、霧を巻いて姿を隠し沼へ戻ったのだろうという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
群馬県史 資料編 27(群馬県史)
『群馬県史 資料編 27』は、群馬県の県史の資料編の一冊で、収めるのはその「第三章 伝説」である。伝説の定義と分類、『神道集』や近世の地誌から明治以降の郡村誌・伝説集に至る県内の調査の歩みを述べ、赤城と日光の神戦、赤堀道元の娘と木部姫の入水、文福茶釜、羊太夫、弘法伝説などを群馬の伝説の特色として論じる。続いて代表例を自然的・社会的・信仰的伝説の三つに分け、各地の口承と古記録を伝承地を添えて並べる。