大山参りの帰りに化かされた連れ
どんな伝承か
戦争のころ、小林やすの父は大山参りの帰りに連れの者と松山で酒を飲み、家の近くの分かれ道まで来た。父は提灯を連れに手渡して別れたが、振り返ると、見えるはずの明かりがどこにもない。いぶかしみながら帰宅すると、連れの家族がまだ戻らないと訪ねてきた。やがて草刈りに来ていた野田の人が、滑川の堰の中で深い深いと言いながらさまよう連れを見つけた。正気に返った連れは、別れたあと向こうへ行くほうが確かだと思って歩くうち、ここまで来てしまったと語ったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
滑川村史 民俗編(滑川村史)
『滑川村史 民俗編』は、埼玉県比企郡滑川村(今の滑川町)の村史の民俗編から、伝説と噂話の節を抜き出したものである。盗まれるのを拒んだ阿弥陀、生首八幡、福田鉱泉の始まり、河童の証文などの伝説と、オトウカ(狐)やムジナに化かされた話、三峯のオオカミ様、人魂や火柱などの噂話を、話者の地区とともに短い条で収める。沼と小高い山の多い村の、村人の身近な不思議の語りが中心である。