手負いの鹿が教えた福田鉱泉の薬師
どんな伝承か
大同二年のある日、蓮海法師が薪を集めに山へ入ると、傷を負った鹿がうずくまっていた。鹿は七日ののちに元気を取り戻して駆け去ったが、伏せていた跡からは水が湧いていた。蓮海法師に導かれて岩殿の行基菩薩が訪れると、そこには洞穴があり、奥から光が差して薬師如来が姿を現したという。こうしてこの地に薬師がまつられ、湧き水はどんな病にも効く霊水としてにぎわったと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
滑川村史 民俗編(滑川村史)
『滑川村史 民俗編』は、埼玉県比企郡滑川村(今の滑川町)の村史の民俗編から、伝説と噂話の節を抜き出したものである。盗まれるのを拒んだ阿弥陀、生首八幡、福田鉱泉の始まり、河童の証文などの伝説と、オトウカ(狐)やムジナに化かされた話、三峯のオオカミ様、人魂や火柱などの噂話を、話者の地区とともに短い条で収める。沼と小高い山の多い村の、村人の身近な不思議の語りが中心である。