天皇の病を癒した湯本の霊泉
どんな伝承か
湯本の鎮守は温泉八幡神社である。本殿には衣冠束帯の神像が三体納められており、これは八幡をこの地へ迎えた三兄弟の伝承と関わるらしい。弘仁九年、嵯峨天皇の病は、八幡が霊示したという湯本の霊泉によって癒えた。そのとき八幡の祠のかたわらにいた三人の兄弟が八幡をこの地へ移し、温泉八幡と称したと伝える。三人は星右京之進・星若狭之助・星丹波といい、湯口屋・星野屋・角屋の先祖にあたるという。旧十一月十五日の祭りは費用がかさむため、馬を売って営むといわれ、その負担を一身に負うのが当元であった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術(天栄村(編)・天栄村史)
『天栄村史 第4巻(民俗編)――憑依と怪異・呪術』は、岩瀬郡天栄村が編んだ村史のうち民俗を扱う巻である。第八章「信仰伝承」では、旧村ごとの鎮守と鎮守以外の神々、寺院・仏堂・修験、家や生業の神々、道切りなどの呪術と禁忌、口寄せをするワカドノ、キツネツキ、オシンメイサマ、小豆洗いなどの妖怪、講を扱う。『白河風土記』や明治十一年の神社明細帳の記載と土地での聞き書きを照らし、近世から近代への移り変わりを記す。