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供物を怠られて暴れた円城寺の天狗

所在地島根県大田市三瓶町野城(円城寺)
年代不明
登場体験者、伝承者
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

石見国安濃郡多根村大字野城の、野城川を見下ろす険しい丘に、天台宗の古刹円城寺がある。三、四百年前には国内一の大寺で、そのころから山の奥の院に天狗が棲みつき、住職が毎日みずから供物を運ぶ習わしだった。文政年間、年老いた住職が坂の上り下りをつらがり、天狗に中腹の礼拝堂まで下りてもらってそこで供えることにすると、天狗は機嫌を損ねて暴れだした。炊いている飯釜に灰が投げ込まれ、沸かした風呂の湯が抜かれ、飼い犬が大木の枝に引っかけられて悲鳴をあげる。困った住職が供物を元どおり奥の院へ運ぶと、天狗はおとなしくなったという。松江の枕木山の華蔵寺にも、暴れる天狗を和尚が隠岐へ追いやったという口碑がある。

原典より

寺男が庫裡の臺所で飯を焚いて居るとき、何時爲るともなく灰が掴んで飯釜の中へ投込まれてあつたり、風呂を沸かすと、湯が抜いてあつたりする。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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