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天狗界から戻った剣術家藤一郎

所在地鳥取県西伯郡伯耆町
年代明治
登場マサ、体験者、伝承者、藤一郎の家の下女
出典幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵

どんな伝承か

徳川の末期、伯耆国の名山大神山の西麓、八郷村の旧家竹内家の一人息子・藤一郎は五歳のとき、乳母に連れられて野遊びに出た隙に忽然と姿を消した。神隠しと信じた両親は諸方の神仏に祈り続けたが消息は知れず、失踪の日を命日として弔った。ところが藤一郎は十四歳のとき突然戻ってきた。どこで何をしていたかは一切語らなかったが、剣術に達者になっており、一室に天狗を祀って誰も入れさせなかった。その部屋には一年中花の絶えない藤の花が活けられ、花が凋まぬ限り天狗が一家を護るのだと言い伝えられた。

原典より

またこの天狗の室の床の花器には一本の藤の花が活けてあるのであつたが、不思議なことには、此藤は一年中花が咲いてゐて枯れない。—— 幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵(岡田蒼溟・幽冥界研究・怪談)

『幽冥界研究資料 第二巻 靈怪談淵』は、岡田蒼溟による霊怪の事例集である。祟る石、出雲の瀧姫行者、神西湖の妖怪、但馬の抜け首、黄金の精、海の牛鬼、天狗などの怪異を、著者自身の見聞や知人の談話、古い文書からの移載によって集め、明治・大正期の出雲や松江周辺の事例を多く含む。項目によっては【解題】や註を添え、事例の後に「第二編」と附録の「天狗考」を続け、巻末の「解説の欄」で生霊・疫神・物体の飛来などを心霊研究の立場から論じる。

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