渕のカワコが川魚を運んだ細矢家
どんな伝承か
日野郡溝口町の根雨原、国道一八〇号線を江府町へ向かうと、左手に伯備線の白水トンネル、右手に日野川が並ぶ。その日野川にショウゴの渕という深いよどみがあり、古くからカワコが住んで旅人を悩ましたという。明暦年間、庄村の細矢仙左衛門が渕に潜り、大岩のウロをふさぐ万鍬を取り除いて水の流れをよくした。翌朝から門の掛け木に柳の枝を通した川魚が掛かるようになり、毎朝それが続いた。ある朝、掛け木が折れて魚もなかったので鉄釘に取り替えると、それきり魚は来なくなった。渕のカワコの恩返しが、嫌う鉄釘のために絶えたのだと村人は語り、以来細矢家をカワコ屋と呼ぶ。子孫は荘に住む川口作市で、明治年間に改姓したという。
原典より
<高木―「河伯の証文」「河童退治」 柳田―「河童証文松」「えんこう淵」>本町根雨原地内に、国道一八〇号線を江府町にむかって進むと、左手に伯備線の白水トンネル、右手に日野川がならぶところがある。—— 日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。