三度見えた人影と三度の地名
どんな伝承か
西ノ島町三度に伝わる話。どこの舟とも知れぬ舟が来て、お石島という所から前の方を見ると人がいるように見えた。不思議に思って島へ上がると誰もおらず、舟へ戻るとまた人が見える。それを三度くり返し、三度目にここへ上がったので、この地を三度と名づけたという。そこから歩く途中で水を越したので越水、中谷の裏の石に腰かけて休まれたので腰かけ岩と呼ぶ。山を登った中牧の狩床では、焼火の神が歌を詠むと水が湧き、書いた文を投げると鴉がくわえて焼火山へ運んだ。鴉の来た所を鴉床というと伝える。
原典より
ここの口い(三度地区の青凪の浜へ……の意)舟が来てね、どこの舟か分らんけれど、お石島という所から前へ行きたときに、人がおるように見えたわけだ。—— 日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。