子を海へ引き込む河童えんこと地蔵
どんな伝承か
与島の南にある鍋島という小島は、島の子供たちの格好の海水浴場だった。ところが泳いでいる子供が急に海中へ引き込まれて死ぬ事故が続き、島の人々は何かのたたりではないかと恐れた。やがて誰言うともなく、これは「えんこ」が子供を溺れさせているに違いないと言われるようになった。人々は地蔵を祀って「えんこ地蔵」と名づけ、海を見下ろす寺の石段に建てた。すると事故はぴたりと止んだという。香川の海辺や島々では河童を「えんこ」と呼ぶ。河童の伝説は多くが川や池に棲む妖怪の話で、このように海に棲む河童の話は珍しい。えんこ地蔵は今も鍋島に残っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊大全(中岡俊哉・2000年(平成12年))
『心霊大全――20世紀の超自然現象世界』は、中岡俊哉が二〇〇〇年(平成十二年)に著し、ミリオン出版から刊行した超常現象の総覧である。日本各地と世界各国の怪奇現象・伝説・心霊の地を県別・国別に紹介し、心霊写真・自動書記・憑依などの心霊現象、臨死体験と輪廻転生、透視・念力などの超能力、手かざしの治療を解説する。全六章から成り、巻末に著者インタビュー、著書・ビデオ作品一覧、あとがき、著者略歴を付す。