健康な夢に現れた臨死体験の解釈
どんな伝承か
岡山市のI・Hさんは大学四年の夏、香川県坂出市の実家に帰省していたとき、友人の車で事故死して体を抜け出し、自分の亡骸を見下ろし、白装束で家の近くをさまよい、最後に河原を歩く夢を見た。健康そのものの状態で見た夢なので臨死体験とは呼べないが、中身は臨死体験そのままだった。著者はこれに二通りの解釈を示す。一つは、物質の世界の背後に精神の世界があり、特別な機会には生きたままでも魂がそこへ入れるとする見方で、ここでも現実体験説が成り立つ。もう一つは、夢も臨死体験もすべて脳が作る像だとする見方で、この例は脳がそうした像を生む力を持つ証拠になるという。
原典より
しかし、I・Hさんは、完全な健康状態にあったのだから、これは臨死体験とはいえない。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。