母が賽の河原と言った夢
どんな伝承か
坂出市の実家で交通事故死の夢を見たI・Hさんは、目覚めてもあまりの生々しさに、本当にただの夢だったのかと思った。母親に話すとひどく気味悪がり、最後に河原を歩いたくだりまで来ると、それはきっと賽の河原ねと言った。賽の河原という言葉を知らなかった彼女は、いよいよ単なる夢とは思えず、死後の世界をのぞいたのではないかと考えるようになった。不吉な前触れかもしれないと、それから一年ほどは夢に出た友人の車に乗るのを避け、夢で事故に遭った場所も通らず、何事にも慎重にふるまった。そのせいか、その後は無事に過ごしているという。夢を見たころ、体にも暮らしにも思い当たることは何もなかった。
原典より
母親にその話をすると、とても気味悪がり、最後の河原のところまでくると、「それはきっと賽の河原ね」といった。—— 臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
臨死体験(立花隆)(立花隆・臨死体験・ノンフィクション)
『臨死体験(立花隆)』は、立花隆が著したノンフィクションである。一九九一年三月放送のNHKスペシャルのための取材を出発点に、日本と欧米の体験者の証言、キュブラー・ロスやムーディら研究者への聞き取り、「文藝春秋」連載中に寄せられた体験談を収める。体外離脱、光の体験、文化による体験の差、感覚遮断や脳の仕組みを章ごとに論じ、末尾で現実体験説と脳内現象説を比べたうえで、著者は基本的に脳内現象説に立つと述べる。