ナオスジをつぶした宿直室の化け物
どんな伝承か
讃岐には昔からナオスジ(ナワスジ)と呼ばれる、悪魔や化け物が通るという細く長い一本道がある。昭和一四年、坂出市の水源地が川津町の連尺に置かれ、そのポンプ場はナオスジ道の一部をつぶして造られた。初宿直の若手Kは真夜中三時ごろ、真黒い顔に真赤な口の化け物のようなものに胸を締めつけられて苦しみ、外では人とも獣ともつかぬ集団が走り去る音を聞いた。翌日のYも同じ目に遭い、窓に砂利を投げつけるような音を聞いた。五人全員が続けてうなされ、宿直返上を申し出たという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本怪談集 幽霊篇(今野圓輔・今野圓輔・日本怪談集・1969年(昭和44年))
『日本怪談集 幽霊篇』は、今野圓輔が昭和四十四年に編んだ幽霊体験談の集成である。新聞・雑誌・単行本や民俗の報告、編者自身の採集から、影や物音、人魂、生霊、死の知らせ、皿屋敷、戦死者の霊、船幽霊、タクシーに乗る幽霊など、日本各地の人びとが見聞きした怪異を、作家の創作を除き原文を尊重して再録する。十章に分けて各章の頭に編者の解説と注を置き、巻末に産女や子育て幽霊を論じた「幽霊外伝」と木原浩勝の解説を付す。