小夜の中山の峠に現れた血まみれの老夫婦
どんな伝承か
タクシー運転手が、以前トラックに乗っていた頃の体験として語った話。東海道の深夜便を受け持つ小さな運送会社には五台のトラックがあり、そのうち一台に乗ると思いがけない所で眠気に襲われると、仲間内で噂になっていた。ある豪雨の夜、その車で小夜の中山の峠にさしかかると急な睡魔が来て、ワイパーの向こうのボンネットに血だらけの老人と老婆が座り、恨みのこもった目で覗き込んでいた。仕事を終えて社長に話すと、社長は青ざめ、その車は買ったばかりの頃に小夜の中山で草刈り帰りの老夫婦をはねて死なせたが、傷が小さかったので従業員に黙って使い続けていたと打ち明けたという。
原典より
彼の走るいつもの路線、東海道には小夜の中山という峠があるのですが、彼はその晩に限って突然、そこにさしかかるとき、唐突に急激な睡魔に襲われた、と言います。—— 漂う霊があなたのまわりにいる(つのだじろう) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
漂う霊があなたのまわりにいる(つのだじろう)
『漂う霊があなたのまわりにいる』は、『うしろの百太郎』などのオカルト作品を描いたつのだじろうが、心霊現象を一般向けに解説した本である。自宅の火事など著者自身の不思議体験に始まり、守護霊・生霊・幽体離脱・念力・憑依霊・ポルターガイスト・除霊・交霊・輪廻転生などを、体験談と内外の事例を交えて説く。十二のLECTUREの間に「CLOSE UP」とコラムを挟んで恐山や狗神伝説、霊感の訓練法にも触れ、エピローグで霊との付き合い方を述べる。