緑風荘に憑く守護神の座敷わらし
どんな伝承か
善い霊のうち、その家に憑くものの代表が東北の座敷わらしである。現在それが出現しているのは、岩手県金田一村の旅館緑風荘だけだという。この宿は地方の大地主だった五日市栄一が屋敷内に湧いた温泉を開放して始めたもので、奥には三百年の歴史をもつ茅葺きの南部曲がり家の大広間が残る。かつて五日市家の住まいだったこの部屋に座敷わらしが現れる。二十四、五年前まで東北には座敷わらしの出る家が八軒あったが、いずれも姿を見せなくなって二、三か月後に火事や夜逃げで絶えたという。わらしは身長一メートルほど、絣の着物を着た、目鼻の見えないのっぺりした子どもの姿である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の謎-新版タナトロギー入門(中岡俊哉・1990年(平成2年))
『霊魂の謎-新版タナトロギー入門』は、中岡俊哉が昭和四十八年刊の『タナトロギー入門』を大幅に書き改め、一九九〇年に文庫として著し直した心霊研究の本である。著者自身の霊体験から説き起こし、背後霊・地縛霊・騒霊・悪霊・淫霊などの事例、臨死体験と転生、死者の声の録音や自動書記、恐山のイタコ、心霊治療、心霊写真の鑑定を国内外の例で述べる。全五章を小見出しで細かく区切り、まえがきでは「七疑三信」という著者の調査の立場を語っている。