豆の葉が散ると歌う奥州の盆踊歌
どんな伝承か
二戸郡は上流まで案外によく開けており、かつて南部藩の主要な財源であった大豆が今も広々と栽培され、その豆畑の上を秋の日がよく照っていた。川楊の葉が翻って白々とした一色になるかと思うと、風が休むともとの緑に戻る。その変化が両岸の大豆畑の黄色の中でことに美しかった。ひとりこの大豆畑の中を通っているとき、図らずも奥州の盆踊歌の「秋風が吹けばいの/豆の葉が散るわいの/盆盆とても/けふあすばかり」という文句を思い出した。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。