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五月末に雪を分けて咲く一本の山桜

所在地青森県十和田市
年代現代(著者旅行時)
登場柳田国男、著者
出典定本柳田国男集 第2巻

どんな伝承か

我々の祖先がかつて南の海端に住みあまり、地続きなればこそ気軽な決意で、流れを伝い山坂を越えて、次第に北と東の平野に降りて来た最初には、同じ一つの島がこれほどまでに冬の長さを異にしていようとは予期しなかったに違いない。地味は豊かに肥え、労少なくして所得は元の地に優り、山野の楽しみも夏は故郷より多かったであろうが、秋が慌ただしく暮れ、春の来ることの遅いのには、しばらくの間は大きな迷惑をしたことと思う。十和田などは、著者が訪ねてみた五月末に、雪を分けてわずかに一本の山桜が咲こうとしていた。

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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)

『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。

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