岩魚を食い蛇身となった八郎太郎
どんな伝承か
八郎太郎はもと奥瀬の住人で、友三人と山に入り、マダの木の皮を剥いで暮らしを立てていた。ある朝、谷へ水を汲みに下りると器の中に岩魚が三尾入っていた。焼くうちに滴りが手に落ち、その味が甘美だったので試しに一つ食べ、堪えきれず三尾とも食べ尽くした。やがて激しい渇きに襲われ、器の水も谷の水も飲み尽くし、ついに澗水に身を浸して飲むうちに水嵩が増し、居た所は淵となった。戻った二人に、八郎は自分は蛇身を受ける因果に落ちたから早く帰れと告げたという。その辺りは大きな潟となり、これが十和田の湖であると伝え、のち南僧坊に追われて八郎は湖を去った。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
佐々木喜善全集 1(佐々木喜善・佐々木喜善全集・1986年(昭和61年))
『佐々木喜善全集 1』は、佐々木喜善の著作を遠野市立博物館が編集・発行し、昭和六十一年に刊行した全集の第一巻である。岩手県の遠野・江刺・紫波・岩手などで聞き集めたザシキワラシの話、昔話、伝説を、村の古老や知友からの聞き書きと手紙による報告をもとに収める。「奥州のザシキワラシの話」「江刺郡昔話」「紫波郡昔話」「東奥異聞」「老媼夜譚」「聴耳草紙」に小篇を加えて並べ、巻末に遠野市教育長の跋と奥付を置く。