富士の豊鳥の残雪で作占い
どんな伝承か
土地の老人たちが富士山の豊鳥で作柄を占うが当たるものか、という身の上相談への答えである。富士の豊鳥とは、毎年五月の中旬から下旬に吉田口から見上げる七合目あたりに現れる、白い鳥の形をした残雪のことで、その雪の濃い薄いで作物の出来不出来を占う。北アルプス白馬岳の代かき馬の雪形と同じたぐいである。著者は、限られた土地で先祖から受け継いだ気象と収穫の観察には、ある程度正確なものが多いと認め、文字の暦が広まるまでは自然の移り変わりを暮らしの目安にしてきたと説いている。
原典より
富士の豊鳥は毎年五月中、下旬に吉田口から望む七合目付近に見られる残雪の白い鳥の形をいいます。—— 現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代の迷信(今野圓輔・現代教養文庫・1961年(昭和36年))
『現代の迷信』は、今野圓輔が昭和三十六年に著した、現代の俗信を一般の読者に向けて説いた読み物である。昭和三十年代の新聞・雑誌の報道や聞き書きを主な材料に、縁起かつぎ、前兆・占い・禁忌・まじない・願掛け、憑きもの落としの殺人や新興宗教の騒ぎまでを全国から拾い集めている。「現状」「過誤と真実」「その背景」「迷信論」の四部から成り、巻末に読者の問いに答える迷信身の上相談を付ける。