樹海の国道に立つずぶ濡れの女
どんな伝承か
最近、樹海に若い女の幽霊が出るという噂がひんぱんに立っている。最初に姿を現したのは五月十七日の夜だった。雨の中、富士吉田市のガソリンスタンド支店長ら二人が国道百三十九号を車で走っていると、ずぶ濡れの若い女が手をあげた。後部座席に乗せ、三キロほど走って後ろを見ると誰もいなかったという。その後もコックや運転手など、次々に幽霊の目撃者が現れた。毎日新聞昭和五十六年十月十六日付に掲載された記事である。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 偽汽車(松谷みよ子・現代民話考(ちくま文庫)・2003年(平成15年))
『現代民話考――偽汽車』は、松谷みよ子が編んだ『現代民話考』全十二巻の第三巻で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。鉄道開通のころ狸や狐が汽車に化けたという偽汽車の話、船幽霊や幽霊船など海の怪談、タクシーの幽霊など自動車や列車の怪談と笑い話を、全国の回答者の聞き書きや新聞・雑誌・書籍から集める。三章それぞれの冒頭に考を置き、話ごとに本文と分布を並べて地名・話者・出典を添える。