宙に舞う殿様の棺を下ろした和尚
どんな伝承か
二戸市浄法寺町の福蔵寺に伝わる話。貧しい寺の五代目の和尚が猫をかわいがっていた。慶長十九年、三戸城にいた南部利直の弟の殿様が盛岡の本家へ向かう途中、福岡まで来て急病で亡くなり、福岡の竜岩寺で葬式が営まれることになった。二戸一円の和尚を呼んだ盛大な葬式であったが、葬儀に入る直前、殿様の棺が宙天に舞い上がり、居並ぶ和尚がいくら経を読んでも下りて来ない。修行のできた福蔵寺の和尚が早馬で呼ばれ、飼猫に教えられたとおり「ナムカラタンノウ」と唱えると棺は元の位置に戻り、葬儀は無事に済んだ。褒美を問われた和尚は、猫が指三本で三百石を示したのに、三十石を願って三十石になったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第2巻』は、岩手・宮城・秋田の三県に伝わる伝説を話の型ごとに集めた伝説資料集である。山の争いや沼の主の手紙、巨人の足跡、八郎太郎、ザシキワラシ、河童、掃部長者などの伝説を、口承の聞き書きと近世以降の地誌・縁起から採る。凡例のとおり各項は伝承地を示した例話を冒頭に据え、〔類話〕〔文献〕〔参考〕を続け、柳田・高木による話型名を添えた項もある。