棺を吊り上げて恩を返した虎猫
どんな伝承か
宝鏡山にあった宝鏡寺の若い住職は、托鉢で得た物を貧しい家に惜しみなく分け、布施がなくとも葬式をしたので生き仏と慕われていた。ある冬の夕暮れ、凍え死にかけた子猫を拾って育てると、犬ほどもある大虎猫になった。七年後、虎猫は人の言葉で恩返しを申し出、長部の長者の葬式で棺をいがこいに吊り上げるから「トラヤァヤーカラヤー」と唱えよと告げる。住職が駆けつけて唱えると棺は静かに降り、名僧の噂が広まった。力尽きた虎猫は矢作の飯森沢に落ちて死に、その渕を猫渕と呼び、岸に猫渕神社が祀られたという。
原典より
<柳田―「猫薬師」>昔、宝鏡寺が宝鏡山にあったころ、その庵寺には若い住職が住んでいた。—— 日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第2巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房)・現代(編纂)/伝承(口承))
『日本伝説大系 第2巻』所収の「文化叙事伝説」64話(岩手・宮城・秋田)を、各話の伝承地(市町村〜字レベル)とともに収める。