炭焼小屋に響く唸り声
どんな伝承か
山奥の小屋に寝ていると不思議な物音がすることがたびたびあるという。大清水の吉田コウジさんが山内の山奥の炭焼小屋で寝ていると、夜中に人の唸るような物音で目を覚ました。何かの間違いかと思ってまた寝たが、次の晩も次の晩も同じ音がする。友人と二人で寝てもやはり同じ物音がした。毎夜続くので人に話すと、ある年寄りが、あの小屋の場所は昔堤流しの堤があった所で、堤流しの人が足を滑らせて誤って死んだ場所だと言う。天理さんの蛇口さんに御祓いをしてもらうと、不思議なことはぴたりと止まった。昭和の初めの頃の話である。
原典より
昭和四十四年、六十二歳の時だったという。—— 現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。