太鼓橋から招く手と来るなと制す親
どんな伝承か
昭和四十七年頃、肝臓の手術を受けた三十歳ほどの女性が語った話。手術中、雲の上をふわふわと運ばれるような感覚があり、やがて赤や紫や黄色の花が咲き乱れる場所に降ろされた。向こうに川が流れ、太鼓橋がかかっていて、渡らずにいると橋のたもとからたくさんの手が伸びて招いた。その中に亡き親の顔が現れ、こちらへ来るなと合図をしたので、橋を渡らずにいるうちに目が覚めたという。同じ経験を二度したと語っている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。