河原の石積みと菓子を手に招く御殿の行列
どんな伝承か
島根県隠岐郡都万村の話。昭和二年、益田農村学校二年に在学中に病気をし、四十度七分という高熱が出た。医者は来ず、洗面器の水を飲むほどの渇きに悩まされ、三日目に入院した。精神状態が朦朧とし、あたりのものがだんだん小さくなって遠く離れていき、真っ暗闇のところへ一気に入っていった。ひとときして再び明るいところに出ると、その辺一帯は河原で、足元には二つや三つ四つ五つの子どもが手に手に石を持って積んで遊んでいた。川向こうの大きな御殿のような建物の奥から行列が出て、菓子を持って自分を手招きしている。御殿に入りたい一心で舟や橋を捜したが見つからず、遠くから呼び返す声が聞こえて帰って来た。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話(松谷みよ子・民話・口承文芸・2003年(平成15年))
『現代民話考 ― 死の知らせ・あの世へ行った話』は、松谷みよ子が編んだ現代の民話の聞き書き集で、二〇〇三年一月付の文庫版まえがきを持つ筑摩書房の文庫版である。一九七八年に発刊された『民話の手帖』を通じて全国から寄せられた回答を中心に、臨死体験、死の知らせ、寺へ来る死者、生まれかわりの話を収める。「あの世へ行った話」「死の話」「生まれかわり」の三章の冒頭に編者の論考を置き、細目ごとに所在地・話者・出典を添えた類話を並べる。