小田原インター付近のトンネルの少女
どんな伝承か
二年前の八月、ドライブの帰りだった。歌手の入江慶子を乗せた車が東名高速の小田原インター付近のトンネルに入り、ちょうど中ほどまで来たとき、前方にすうっと女の子が現れた。セーラー服姿の中学生ぐらいで、よく晴れた日だというのに全身がびしょ濡れである。少女はセンターラインのあたりに立ち、道路を横切ろうとした。入江は止めて、危ないと叫んで思わず両手で顔を覆う。どうしたのかと声をかけられ、おそるおそる手を離すと、少女の姿はもうどこにもなかった。ただ恐ろしかったとだけ語っている。
原典より
二年前の八月、ドライブの帰り、東名高速の小田原インター付近のトンネルの中間まできたとき、前方にスーッと女の子があらわれたのです。—— お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・1974年(昭和49年))
『お化けについてのマジメな話』は、平野威馬雄が昭和四十九年に著した幽霊とお化けをめぐる随筆である。自ら主宰する「お化けを守る会」に寄せられた体験談や、大阪の毎日放送のラジオ番組で聴取者が電話で語った話を軸に、前世や霊媒・降霊実験など海外の心霊研究、井上円了の妖怪論、古い記録に見える犬神などの憑きものを取りあげる。体験談から死後の世界、お化けを呼ぶ方法、昔のお化けへと進む八章立てで、巻末にあとがきを置く。