夜ごと近づいてくる白衣の老婆
どんな伝承か
著者は六年ほど前、東大の病院で胃潰瘍の手術を受けた。九月一日に入院し翌日が手術だったが、ガス麻酔がよく効かず、口にガーゼを詰められて訴えることもできないまま二時間を耐えた。七階の病室からは上野の動物園のモノレールが見え、夜は御徒町の灯が空を彩る。三週間して順調に回復したころ、大小の骸骨が十体ほど枕もとに集まって囁き合う夢を見た。翌日から高熱が出て重症に逆戻りし、毎晩二時になると原因の分からぬ出血が続く。やがて夢に、喉へ絆創膏を貼った白い着物の老婆が現れ、夜ごと少しずつ近づいてきた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
お化けについてのマジメな話(平野威馬雄・幽霊・怪異体験・昭和)